半透膜における溶媒や溶質粒子の移動の様子を見てみましょう。
溶液と純溶媒を半透膜で区切ります。溶液溶媒+溶質のことを溶液と言いますには溶媒と同程度の大きさの溶質は溶けていないとします。
図21では、溶媒粒子は半透膜を通り抜けることができてますが、左の溶液内の溶質粒子は半透膜を通り抜けることができないでいますね。実はこのことが浸透圧を発生させる原因となっているのです。ではもうすこし拡大してそれぞれの言い分を聞いて見ましょう。
どうやら溶液側の溶媒にとって溶質は邪魔な存在のようです。本来溶液側の溶媒粒子も、純溶媒側の溶媒粒子も同じ移動度(移動のしやすさ)を持っています。しかし、溶液側の溶媒粒子は同じ溶液中の溶質が邪魔になって、純溶媒側へ移動するのを妨げられてしまいます。
正確に考えたい場合は個数の概念で考えてください。左右から同数の粒子が半透膜に向かってアタックする場合、溶液[左]側から[右向き]は溶媒粒子と溶質粒子のアタック、純溶媒[右]側から[左向き]は溶媒粒子のみのアタックになります。溶質粒子は半透膜を通り抜けることができないため半透膜で跳ね返り、同タイミングで考えたとき、右からの溶媒粒子の方が半透膜を通り抜ける数が多くなります。
そのため、結果として純溶媒側からの溶媒粒子の移動が多く行われることとなります。
図23をご覧ください。全体的に見たかったので、半透膜を今までよりもアバウトに描いています。半透膜には当然溶媒は通しますが溶質は通さないような小さな穴があると考えてください。純溶媒から溶液側へ移動する溶媒粒子の方が、溶液側から純溶媒へ移動する溶媒粒子よりも多いですね。この差が浸透圧を生み出します。つまり移動度の差が圧力となって現れてくるのです。
純溶媒同士を半透膜で区切っても当然移動度は同じですから、浸透圧は生じません。つまり浸透圧とは密度の異なる溶液同士(もちろん溶液と純溶媒も可)を半透膜をはさんで接することによって生まれるものなのです。このとき図25の溶液の浸透圧は
図25のように溶液に入ってくる方向へP[Pa]と定義します。いいですか?もう一度言いますよ!
溶液の浸透圧は「その溶液に入ってくる方にP[Pa]と定義」します。
方向も忘れないで下さいね。
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