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力学

運動方程式の形

物体に接触するとその物体間に力が働くことは「力とはどこに発生するのか」のページで説明しました。ではその「力」が発生することにより一体どういうことが起こるのでしょうか?

が物体に働くことでその物体の運動の状態を変化させることが出来ます。例えば、止まってた物体を動かしたり、動いていた物体を止めたり、また速度$ v_0$[m/s]で動いている物体を加速させて速度を$ v$[m/s]にしたり…と、力が働くことで、その物体の運動が変化するのです。 力とはどこに発生するのか」へ飛びますか?



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具体例

では次の図1をご覧下さい。

図 1: 大玉を押す
大玉を押す

大玉の質量を$ M$[kg]としましょう。大玉に注目すると、どのような力が働いているのでしょうか?

図 2: 大玉から見える力
大玉から見える力

もちろんもうどの力が見えるかは判断できますよね。少年から押されている力$ F$[N]、そして地面と接触しているから垂直抗力$N$[N]、そして最後に接触しなくても働く力:重力$ Mg$[N]です。

「力とはどこに発生するのか」のページでは力の効果に関してはほとんど説明していませんでした。ですからここでしっかりと押さえてもらいます。力が働くと物体の運動の状態が変化するのでしたね。もっと正確に言うと、力が働くことにより、加速度が生じるのです。今後ずっと大事な考え方です。是非覚えておいてください!

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式の形と意味

ニュートンが発見した運動の法則を示す式は

$\displaystyle ma = F$ (1)

となります。ここでじっくり式(1)についてのイメージを構築しましょう!まず式(1)はベクトル方程式です。つまり式(1)には方向の情報まで含まれているということです。ベクトル方程式ということを意識しながらもう一度式(1)を示してみましょう。

$\displaystyle m\overrightarrow{\mathstrut a} = \overrightarrow{\mathstrut F}$ (2)

となります。この意味は分かるでしょうか?以前にもバネのページで同じような式を示しましたが、もう一度この式(2)の意味を再確認してみましょう。

図 3: ベクトル方程式
ベクトル方程式

$ m$[kg]は質量ですのでスカラー量です。しかし力 $ \overrightarrow{F}$[N]は向き大きさを持つ値ですからベクトル量です。ということは、右辺に向きと大きさを持つ値がありますので、当然それと同様の量を持つものが左辺にあるはずです。それが加速度 $ \overrightarrow{a}$[m/s$ ^2$]となります。加速度も向き大きさを持つ値でしたね。

つまり物体に力$ F$[N]をかけると、その力を加えた方向と同じ向きに加速度$ a$[m/s$ ^2$]を生じるということを意味しています。逆に言うと、物体に加速度$ a$[m/s$ ^2$]が生じるということは、その加速度と同じ方向に力$ F$[N]を受けていることを意味します。

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力の効果の違い

物体に力$ F$[N]を加えたとき、力を加える物体によって生じる加速度$ a$[m/s$ ^2$]に違いがあります。

図 4: 発泡スチロールの大玉と、水晶の大玉
発泡スチロールの大玉と、水晶の大玉

例えば図4のように同じ大きさで質量の小さな発泡スチロールの大玉$ m$[kg]と質量の大きな水晶で出来た大玉$ M$[kg]を同じ力で押したときのことを考えてみましょう。

どちらの大玉にも同じ力を加えますが、しかし経験上軽い発砲スチロールの大玉の方が勢いよく加速していくことは誰にとっても明らかだと思います。つまり、同じ大きさの力を加えているにも関わらず、物体によって加速度の生じ方に違いが出るのです。

図 5: 動き出し易さの違い
動き出し易さの違い

この一定の力$ F$[N]を加えたとき、加速度$ a$[m/s$ ^2$]の生じにくさを、物体に固有の値として質量$ m$[kg]と決めます。

先ほどわかりやすいようにそれぞれの大玉の質量を与えてしまいましたが、実際には質量はこのように同じ力を加えたときの加速度の生じ易さの違いを表す比例定数という表され方をします。このようなイメージを持っておくことは、「質量」と「重さ」の違いを理解するうえでもとても重要なこととなります。

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Copyright (C) F_Master All rights reserved. 更新 Monday, 21.05.2012 10:27 pm

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