F _MASTER'S EYE

力学

運動方程式を使った問題2

もう1問、同じような問題ですが、今度は摩擦力が発生する問題を考えてみましょう。

問2:図33のように、三角台上を質量m[kg]の物体が初速度v[m/s]でx軸と逆方向へ上っている。このとき台と物体との間には動摩擦力が働き、動摩擦係数はμ'であるとする。小物体mの加速度を求めなさい。

図 33: 三角台上の運動
三角台上の運動



解答

今回は動摩擦力が発生します。摩擦力の描き方は大丈夫ですよね?もし不安な方は摩擦力のページをご覧下さい。摩擦力のページへ飛びますか?では、加速度を求めるために運動方程式が利用できそうですね。しかしその前に注意事項を説明しておきます。

注意事項とは動摩擦力の方向のことなんですが、これは加速度の方向とは無関係です。摩擦力というのは現在の移動方向と逆方向にかかるものです。勘違いされそうですが加速度というのは1秒間にどれだけ速度が変化するかという量であって、現在どちらに進んでいるかということは表しません。では現在どちらに進んでいるかというのを表す量は一体何でしょう?…もちろん速度ですね。

つまり速度$ v$の方向を見て物体がどちらに移動しているのかを確認し、摩擦力の発生している方向摩擦力の方向は接触する溝を確認して、接触点方向に対して逆向きになりますねを決定するのです。

図 34: 動摩擦力の方向
動摩擦力の方向

今回は物体が持つ速度は$ x$軸負方向ですから、摩擦力の描き方のページでご説明しましたように、V字型の溝の右側が接触します。物体は小さな三角形の方なので、物体には$ x$軸正方向へ動摩擦力$ f$がかかります。

ここさえ押さえてもらったら、後はいつも通り運動方程式を立てる手順に従って手順4まで終わった図を図34に示します。

図 35: 物体に働く全ての力と軸を描き込む
物体に働く全ての力と軸を描き込む

では、ここから最初にやらなくてはならないことと言ったら…当然動摩擦力の大きさを求めることです。動摩擦力は

$\displaystyle f=\mu'N$ (21)

でした。さて$N$が知りたいわけです。…というわけで、もちろん$y$軸方向の力のつり合いの式から求まりますね。

$\displaystyle N=mg\cos \theta$ (22)

です。したがって、動摩擦力は$N$を式(21)に代入して

$\displaystyle f$ $\displaystyle = \mu'N$    
  $\displaystyle = \mu' mg\cos \theta$ (23)

となります。これでようやく$ x$軸方向の加速度を求めることが出来ます。加速度$ a$は当然$ x$軸正方向へ向いていますので

$\displaystyle ma$ $\displaystyle = mg\sin \theta + f$    
  $\displaystyle = mg\sin \theta + \mu' mg\cos \theta$    
  $\displaystyle = mg(\sin \theta + \mu' \cos \theta)$ (24)

と書けます。もうわざわざ私がma= …で止めなくても大丈夫ですよね?したがって、求める加速度$ a$は式(24)より

$\displaystyle a = g(\sin \theta + \mu' \cos \theta)$ (25)

となりますね。どうでしょう?今回は摩擦力が発生していたため、少々難しく感じたかも知れませんが、毎回このようにまずは垂直抗力$N$を用いて$ f=\mu'N$としておき、その後ちゃんと$N$を求めるという手順を踏めば、確実に答えを出すことが出来ます。ちゃんと解けるようになるまで、しっかりと読み直し、そして解き直してください。

△上へ戻る

Copyright (C) F_Master All rights reserved. 更新 Monday, 21.05.2012 10:19 pm

トップページへ | 物理トップページへ | アーカイブス | 次へ:仕事 | 戻る:問題1 | 上へ:運動方程式

問題 | 解答

ホーム物理のトップページ目次力学とは運動方程式問題2